ハードプラチナを鍛える
鍛造(たんぞう)・圧延(あつえん)
オリジナルの配合でプラチナの純度を950にした後に、プラチナを鍛える作業が行われます。
プラチナの融点は1780度にもなります。
肉眼では目を痛めるほどに赤くなりますので特殊なメガネを掛けて目を保護しながらの作業となります。
プラチナを赤く熱してから大きなハンマーを振り下ろしプラチナを鍛え上げます。
金槌を振り下ろす度、アトリエ中に「カーン、カーン」とまさに今制作が始まったのだと鐘が鳴っているかのようです。
その姿はまるで刀鍛冶そのもので、刀匠を彷彿させます。
鍛えるとどうなるの?
プラチナは槌で叩き鍛えることで、組織がきめ細くなり粒子の大きさも均一化していくことで強度が増します。
また、熱間鍛造は冷却速度の違いによって生じる歪みも起こりにくくなります。
それにより、同じ厚みのプラチナだと鍛造製法で作られたもののほうが、鋳造(ちゅうぞう)製法より強くなるのです。
あえて鍛造のデメリットを取り上げれば、鍛造には卓越した技術と経験が必要となりますので、量産化には向かないということです。
ワンポイント!
ジュエリーの制作では様々な制作方法がありますが、大きく分けると主に鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)に分けることができます。
どちらが良い製法だということではなく、作るものに合わせた適材適所の使い分けが最も大切になります。
指輪の形状へと整えていきます
溶接部分は約1780度
溶かしたプラチナを接合部分に流し接合します
プラチナは金よりはるかに融点が高く約1780度にもなります。
溶接時には酸素バーナーを使い、接合部分が高温になり眩しい光を放つので特殊なメガネで目を保護しながらの作業となります。
また、溶接時に使うピンセットも金の時とは異なり特殊な素材のものを使用します。
真円を出すために、槌で叩き鍛え成形します。
リング内側を綺麗な円にするため槌で叩き締め鍛え整形することで、さらにプラチナが硬く鍛えられつつ綺麗な真円になっていきます。
この時にリングサイズの微調整も施します。
ワンポイント!
ただし、注意を払って作業しないと叩きすぎると指輪の形が崩れたり、薄くなってしまうことがあるので集中力が求められる作業でもあります。
金槌で叩いていると、はじめは「カーン」と響きますが、締まってくると「キーン」と音が変わります。
それ以上叩くと金属疲労が起こるので、気をつけなければなりません。
プラチナとの対話といわれる所以かもしれません。
鏡面仕上へのプロセス
ヘラがけ(Burnishing)
「へら仕上げ」は鏡面仕上げをするにあたって最も大切な前処理の一つです。
超硬鋼製のへらをリング全体に押し当てることで、表面が光るとともに硬化作用が起こります。
また、ヤスリの僅かな傷や加工途中で付いた傷、肉眼では確認できないような傷もへらで
押さえこんでいくことができます。
今ではこの工程を行わずに仕上げ作業を行うことも多いと耳にはしますが、へら仕上げを行なってから
磨きあげたほうが美しい輝きになるのを経験しているのでHIROUMIでは外せない工程です。
磨き作業(Polish)
「バフ」と呼ばれる布を機械に取り付け回転させ、リング全体を磨きます。
バフには数多くの種類があり、研磨剤と組み合わせると数えきれないほどの組み合わせになります。
HIROUMIのBRIDALでは、大小約7種類のバフと7種類の研磨剤を組み合わせ適材適所に使い分け
磨いていきます。
どの場所にどのバフをどのように使うかは長年の職人の経験と知識が必要となり、
硬く締まった地金は、磨き上げるにも高度な技術と多くの時間を要します。
ポリッシュが終わりプラチナの輝きが引き出されているか確認します。
ただリングが光っていればいいというわけではありません。
光っている面が滑らかに鏡のように反射し、映り込むこと。
それはプラチナだけが表現できることであり、プラチナを使う意味でもあります。
幾度の工程を経て磨きこまれ、もうこれ以上光らないと感じてもさらにチェックをし磨きこむ。
そこまでこだわるからこそ、硬質でありながら、滑らかな輝きを放つリングが生まれるのです。![]()
仕上げの工程が終わると、リング内側にご希望のメッセージを刻み最終のチェック作業へ移ります。HIROUMIの基準を全てクリアーしたものだけがお客様のもとへお届けされます。