HIROUMIのアーカイブ

昭和5年からつづくアトリエヒロウミでは、初代が作り上げた過去の遺産が数多く残されています。

遺産といっても、私共の宝と考えているものは、確かな技術力で作り上げたジュエリーの型。
デザインと単純に呼ぶのでは表面的な形のことだけのようで、軽くなってしまうような気がして、ちょっと違和感があります。

ジュエリーの型は、姿を作り上げるための「組み立て・構造」も含めてのことだと考えます。
ひとつ、ひとつ、パーツを作り、寄せ、組み立てて、ひとつの姿にしていく過程を経て、現れるものです。
この写真は、アトリエヒロウミの大いなる遺産。初代が残した石膏型です。

初代が制作したジュエリー型
初代が制作したジュエリー型

 

作ったリングはすべてお客様に納められ、現品はひとつも残っていませんが、様々な石膏型が残されております。
初代が現役で仕事をしていたころを私どもは目にしておりませんが、残されていた石膏型から、初代の仕事がどのようなものであったかが伺い知れます。

ぱっと見てもわかりにくいかと思いますが、このリングはパーツの組み合わせ、曲線のつけ方、立体的な組み立て、すべてにおいて現在店頭に並んでいるものではお目にかかることのない複雑な構造となっています。

現代では形作る手法として手作り以外に、「CAD」「光造形」「切削機」と最先端の技法が多く取り入れられておりますが、ジュエリーはとても小さな世界に多 くの曲線が組み合わさり出来上がっておりますので、微妙な曲線の再現など美しく仕上げようと思えば手仕事でしかできないことが現代でもとても多くなりま す。

ですから多くの技術が発展した現代でも高度な手仕事は絶やしてはいけないと感じる次第です。