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見たことのないシルエットの結婚指輪

写真のリングは、ヒロウミマリッジコレクションのNo.4です。

マリッジリングコレクションNo.4

ヒロウミマリッジらしいウェーブに、重ねて勾玉っぽい形状に磨り出しを全周に施しています。

レディスは磨り出した部分に「メレーダイヤモンド」を3ピースと「ダイヤモンドダスト」と名付けたキラキラ光る表面処理を加えています。

メンズはクールな鏡面仕上げです。

ウェーブの上にまた磨り出した凹面を付けたデザインは、出来上がってから気付きましたが、他では見かけたことがありません。

全周のウェーブ自体がよくお話しするように量産では作り辛いものということと、その上に磨り出しの凹面ができるということは、仕上げの磨きがより一層難しく、綺麗に仕上げるのに時間がかかるためかも知れません。

手作りで全て1本づつ作っていくのであれば、どのような形のものでもお作りすることができます。

私共の制作するジュエリーは、組み立て技術もこだわっておりますが、特にマリッジリングのような地金を見ていただくことが多いジュエリーにおいて大事になってくるのが「仕上げ」の技術だと考えております。

バフも研磨材も10種類程を使い分けて、段階を追って何度も磨きを重ね、きめ細かな光を放つ状態に仕上げていきます。凹み部分があるということは、けっして磨き易いものではありませんが、手作りだからこそ丁寧に手を掛けて仕上げていくことができます。

手の掛かる子ほど可愛いと言うの本当かも知れません(笑)

プラチナの美しさを語りましょう

先日、プラチナ・ギルド・インターナショナル主催の「プラチナベーシックセミナー」を受講させていただいて参りました。

プラチナセミナー

現在アトリエヒロウミでお作りしているジュエリーの9割以上はプラチナを使用している製品となります。
しかも、その100%が国際基準のPt950でございます。

鍛造し手作りしているからこそ、プラチナの特性はよく知っているつもりでも、ジュエリー制作者が当たり前と思っているプラチナの良さを、どのような言葉でお伝えしたらお客様に理解を深めていただけ、目の前のプラチナジュエリーの価値をダイレクトにお伝えできるのか?
そのお話を学ばせていただきました。

日本でプラチナジュエリーとして認められるのは、「Pt850」以上です。
つまりプラチナ含有量が85%以上のものでないと「プラチナジュエリー」とは認められません。日本での主流は「Pt900」プラチナ含有量が90%のものです。

実は、国際基準のプラチナジュエリーは、主に「Pt950」が使われています。
プラチナ含有量は95%の高品位なものです。

でも、「高品位が良いのだったら、交じりっけ無しの100%のプラチナを使ったらいいのじゃない?」という声も聞こえてきそうですが、貴金属は意外かもしてませんが、とても柔らかい金属なのです。
それをジュエリーとして制作するにも、日常的に身に着けるにもある程度の金属の硬さが必要になってきます。

ですから、プラチナに僅かな割り金を加える事で硬さを出す必要性があるのです。

アトリエヒロウミでは、プラチナに独自配合の5%の割金を加えています。さらに槌で硬く叩き締めることで一層硬さを出すようにしています。

硬いぶん、加工は大変にはなりますが、硬質であるがゆえ磨いて仕上げたときも一点の曇りも無い鏡の様なプラチナの姿に仕上げることができるのです。

アトリエヒロウミのプラチナ950の輝きは、格別に美しいと自負しております。

パール&ルビーペンダント制作 1

Ptシャトンパーツの制作1

Ptシャトンパーツの制作2
完成したパーツを並べてバランスを見ている

先のブログにてオーダー頂いておりましたパールを使用したペンダントの制作です。
お求めいただきましたリングとコンビになるようにデザインを起こし、お打ち合わせをしましてから、素材の選択をし制作をしていくうえでの構想を練り上げ、ついに制作に取り掛かる事になりました。

そして、今回の制作にはもう一つ大事な事があり、お客様のお持ちでした綺麗なルビーを使用させていただける事になっておりました。これは職人冥利に尽きます。

さて、左上の画像のように小さなパーツからヤスリで細部を削り出して2つのパーツを作りだします。
それらを合わせますと右上のように少しクラシカルなメレーダイヤを留めるための枠が
出来上がります。

この枠はサイドから見てもアーチ状に削り出しており、ダイヤに光が入りやすくするとともに、しっかりと光を反射させますので、より綺麗にダイヤが輝きます。
とはいえ、とても小さなパーツになりますので削りだすのにも一苦労です。
さらにこの小さなパーツの状態で綺麗に磨き上げておくことで、組み立てた時に細部まで綺麗なものになります。
それには多くの時間を費やしてしまうのですが、完成時に大きな差が出ますので、どうしても必要で大切にしたい工程なのです。

これらのパーツを作ることが出来ましたら本体になる部分を板から打ち出して成型します。
それらが出来ましたらいちど並べて全体のバランスを確認します。
この時にパーツ同士の高さであったり、ルビーを並べてどのような輝きになるか確認します。

ソリテールのStyle

ソリテールのスタイルにも沢山ありますが、そのどれもがセンターストンの存在感を引き立てるものでなければなりません。
そして、シンプルに見える物ほど考え抜かれ高度な技術が求められます。
と言いますのもシンプルであるがゆえに、僅かな歪みや磨き、バランスの良し悪しがとてもはっきりと際立ってくるからです。
その良し悪しによっては、ダイヤの美しさまで左右してしまいます。
だからこそ、しっかりと考え抜いて余計な装飾を避け、必要な強度を残しつつ繊細にかつ魅力的に仕上げる事を考え制作を行います。

ソリテールリング(ラウンド)HIROUMI

爪のつくり(HIROUMI)今回はセンターをワイヤーセッティングにて作りダイヤのシャープな印象をより引き立てるために爪に角度を付けセッティングしております。

上写真はリングを裏側から写したところですが、ただ爪に角度を付けるだけでは絞ってきた所が(指側)爪の幅が同じですと地金で埋まって来てしまい
空間が無くなり、ダイヤに光が入らないうえに繊細さが無くなってしまいますので、爪の一本一本をヤスリにて削り、太くから細くと強弱を付け爪の幅を調整してあげることで、光が入りやすく、かつ繊細に見えるように加工致しております。

作る上では工程が大幅に増えてしまうので、一般的加工ではないのかもしれませんが、美しく仕上げるためには、このような細部に渡る作業がHIROUMIのスタイルでもあり、とても大切な事でもあると考えております。

「こだわり」と「作り込み」

アラベスクリングNo.1(HIROUMI)

アラベスクリングNo.1(パーツのはめ込み作業)HIROUMI
仕上げたパーツを嵌めこみ組み立てているところです

こだわりが強いと言えば、どのブランドでもきっと同じ事を言うでしょう。

しかし、もっとも大事なのは、細部に渡る「作り込み」です。

この部分は絶対に妥協が許されない個所で、ジュエリーにおいて非常に重要な事であると考えております。
とはいえ、それは膨大な時間とセンスが必要不可欠となります。

一点一点素材を厳選して、しっかりとした作り込み、表から見ただけでなく裏側も表と同様のクオリティにて、制作を行い表現する。
そういった作品こそジュエリーと呼ばれる価値ある物だと私達は考えております。

ときには、一本の指輪を作り上げるのに数百のパーツに分けて、各パーツを磨き上げた後に組み上げるということもあります。
新作として制作しました写真のリングも、唐草模様をプラチナの線材で作ったパーツをピンセットで一つずつはめ込んでいき、溶接して行きます。バランス感覚と感性から生まれる作品です。
ですから年間でも僅かな本数しか制作することが出来ません。

それでも、しっかりした本当に良いジュエリーをお手に取っていただきたいという想いから一点一点大事に仕上げていきます。

それこそが私達のこだわりです。

仕立ての大切さ

ハートシェイプを使用した、ソリテールリングの側面から見た写真です。
ソリテールリング(ハートダイヤ)HIROUMI

宝石の美しさを表現するために、あえてシンプルなモデルに制作致しました。
先に書きましたようにシンプルに表現するには、思われる以上に高度な技術が求められます。
宝石の美しさについ目を奪われがちですが、そんな時ほど枠の仕立てにも十分目を凝らして下さい。
側面から見てみると枠のプロポーションをみてとる事が出来ます。
そうすればそのジュエリーを制作されるまでの想いを感じ取っていただけることと思います。
見分けの一つとして、枠の細部までに至る仕上をご覧いただければと思います。

ジュエリーには、貴重なプラチナや金を素材に宝石がセットされております。
だからこそ、見えづらい裏側や隙間の内側まで綺麗にプラチナも磨いてあげなければ、高価な貴金属を使用する意味がないと考えております。
手にした際に、地金部分をそっと光に照らして下されば鏡のように綺麗に反射し、お顔が映り込むと思います。
宝石と共に、枠の仕立てにもジュエリーとしての完成度を気に留めるようにして頂ければ、
どのような元に作られたのかということが少しづつ感じれるようになるのではないかと思っております。

そういった細部に至る仕上げや、作り込みが宝石の魅力を引き出すのにとても大切な役割をしております。