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ファミリージュエリーの一つの形

曾祖母様からのリングは、一部のメレダイヤを曾孫ご夫妻のマリッジリングに託され、残されたリングは、リングとペンダントに生まれ変わりました。

石座の爪をすべてレーザー溶接で補強し、バチカンになる丸カンも溶接し、表も裏も磨き上げ、再びダイアモンドを留めました。

1カラット以上あるダイヤモンドで、お尻の座りが大きめなアンティークで見かけるようなシルエットのペアシェイプの形が趣を感じさせてくれる、シンプルだけれど美しいダイヤモンドペンダントに仕立て上げられたかと思います。

しばらくは曾祖母様からは孫に当たられるお母様の胸元に輝き、ゆくゆくはお孫様に譲られるような時がきても、時代を超えてどの年代の方にお着けいただいてもさり気なく馴染む設えになりました。

ペアシェイプの石座とメレを外した部分を切り離したリングは、ひび割れの補修や変形直し、動いていたメレダイヤを留め直し、磨き上げました。着けていただくと緩いカーブのあるシンプルなダイヤモンドリングですがボリュームもあるしっかりした存在感のあるリングですので、マダム世代のお母様の普段使いのリングとしても、重ね着けなどもしやすいリングに仕上がりました。

どちらのジュエリーもまた次の世代に受け継いてこれからも長くご愛用いただけるものにできたかと思います。

今回は曾祖母様からお祖母さまが受け継がれでご愛用になられたジュエリーをお母様、お孫様へ受け継いでいく、そんなファミリージュエリーの歴史を紡ぐお手伝いをさせていただきました。

ジュエリーは人よりずっと長生きなものですから、新しくお作りさせていただく時でも、次世代に受け継いでいただけるような時代や世代を超えてご愛用いただけるお品をと心掛けてお作りしています。

ファミリージュエリーの行方

さて、前回曾祖母様から伝わるリングをメレダイヤを3ピース使った曾孫様ご夫妻のマリッジリングが完成しまして、残りのリングは使わす仕舞い込まれることに…。
それはもったいないので、通常は承らないリモデル方法ですが、今回はそのまま元のリングを残して、ペアシェイプダイヤは石枠ごとペンダントに仕立てるご提案を致しました。

リングは画像処理で他の部分を除くとこんな感じのウェーブリングに

ペアシェイプダイヤモンドでのペンダントはバチカンありのタイプか、小さな丸カンのタイプをデザイン画でのご提案。

Aタイプに決まりました♪

 

古いリングで長くご愛用されているものですと、色んな部分の損傷が出てきています。

リングの歪みやそれに伴うひび割れもあり。

ロウが枯れて今にも爪が外れそうな状態。

リング部分と切り分けて、ダイヤモンドを外し1箇所ずつレーザー溶接で修復していきました。

ジュエリーの作りだけのお話ですとダイヤだけ残して作り変える方が良いわけですし、通常のリモデルや修理では他の方が作ったジュエリーの修復は基本的に致しておりませんが、曾祖母様からの思い出もご家族の想いも籠もったリングでしたので、今回は特別にそのお気持ちに寄り添う形でのリモデルを行わせていただきました。

 

ファミリージュエリー

ジュエリーの歴史が日本よりも古い西洋には、ジュエリーや宝石を家族代々受け継いでいくという習慣があるそうです。

ファミリージュエリーと呼ばれて、例えば花嫁に贈られるエンゲージリングのダイヤモンドは花婿のお家に代々伝わるダイヤモンドを使ってとか姿や形を変えることはあれども、何代にも渡って譲り受け、贈り渡していくようなもの。

イギリスのエリザベス女王がフィリップ殿下から贈られたエンゲージリングも、フィリップ殿下の母アリス妃が結婚する際に遠縁にあたる最後のロシア皇帝ニコライ2世と妻のアレクサンドラ王妃から贈られたティアラから外された3カラットのダイヤモンドを使ったものだそうです。

ジュエリーの歴史が浅い日本においては、おそらく広く一般的にジュエリーを身に着けるようになって3~4世代程度かと思いますので、家に代々伝わるとまでは言えなくても、お祖母様から譲られたもの、お母様から譲られたもの、結婚に際しお嫁さんに贈られるエンゲージに元はお母様のエンゲージリングのダイヤを使ってなどはよくあるご様子で、私共でもリモデルで手がけさせていただく機会が結構ございます。

今回はまず、お孫様のご結婚に際し、曾祖母様からお祖母様へ受け継がれ長年愛用されたリングのダイヤモンドの一部を使いたいというご相談でした。

何度もご相談を重ねて、マリッジリングのベースはCollection No.11のペアで峰にピンクゴールドのラインをあしらい、お孫様には通常のダイアの留め位置に曾祖母様のダイヤを2ピース加え、ご主人様にはリングの内側に1ピースを秘め、新しいご家族の繋がりが生まれました。

さて、ではダイヤが3ピース抜けた残りのリングをどうするのか?

センターストーンは1カラット以上ある品で、ヴィンテージジュエリー等に見られる座りの大きな古いタイプのカットですごく趣のあるペアシェイプ。メレダイヤの並んだリング部分だけでもしっかりボリュームのあるリングです。このまま仕舞ってしまい眠らせておくのはとてももったいないです。

石だけを外して丸ごと新しいジュエリーにということもできますが、曾祖母様からお祖母様へ譲られ半世紀以上ご愛用だったそうでご家族はとても思い入れを持っていらっしゃるお品。

そういったご事情を鑑み、いつもなら使わない手法で新しくご家族に身に着けていただけるジュエリーにリモデルさせていただきました。

詳しくは次回ご紹介します。