「こだわり」と「作り込み」

アラベスクリングNo.1(HIROUMI)

アラベスクリングNo.1(パーツのはめ込み作業)HIROUMI
仕上げたパーツを嵌めこみ組み立てているところです

こだわりが強いと言えば、どのブランドでもきっと同じ事を言うでしょう。

しかし、もっとも大事なのは、細部に渡る「作り込み」です。

この部分は絶対に妥協が許されない個所で、ジュエリーにおいて非常に重要な事であると考えております。
とはいえ、それは膨大な時間とセンスが必要不可欠となります。

一点一点素材を厳選して、しっかりとした作り込み、表から見ただけでなく裏側も表と同様のクオリティにて、制作を行い表現する。
そういった作品こそジュエリーと呼ばれる価値ある物だと私達は考えております。

ときには、一本の指輪を作り上げるのに数百のパーツに分けて、各パーツを磨き上げた後に組み上げるということもあります。
新作として制作しました写真のリングも、唐草模様をプラチナの線材で作ったパーツをピンセットで一つずつはめ込んでいき、溶接して行きます。バランス感覚と感性から生まれる作品です。
ですから年間でも僅かな本数しか制作することが出来ません。

それでも、しっかりした本当に良いジュエリーをお手に取っていただきたいという想いから一点一点大事に仕上げていきます。

それこそが私達のこだわりです。

爪の角度?

ソリテールリング爪の角度(マーキスダイヤ)HIROUMI

ジュエリーにご興味のある方でしたらピンと来るかもしれませんが。
爪と言うのは指の爪ではなく、宝石を留めるための柱のような部分の事を指します。
(今回の写真ではピンセットで挟んでいる線材の部分です。リングを裏側から映しております。)

ソリテールリング爪の角度2(マーキスダイヤ)HIROUMI
一本ずつ爪の角度を調整・確認しているところです。

ジュエリーにセットされている宝石のほとんどはプラチナや金などの貴金属によって枠に押さえこまれております。

とはいえ、そこに留めているだけなら、あまり気を使わなくてもいいのですが、美しくセットしようと思えば、どのようにセットすれば美しくする事が出来るかということを考えなければなりません。
今回の写真で撮りましたこのマーキスカットダイヤのリングでも、その部分は随分意識して制作しております。
マーキスカットのシャープさを表現するために爪を鋭角にセットし、かつ線材でも石枠部分は太く根本に向かって細くと、グラデーションを付けました。
わずかな変化なので、気付き難いかと思いますが、それでも繊細さを感じてもらえればと思っての加工です。

手作りでの制作ですので、爪の一本一本を棒状のプラチナから削ってつくり、角度の調整をしながらセッティングして溶接していきます。
ただ鋭角にと一言で申しましても、一か所を鋭角にセットするためにはそれに関連する部分の作りすべてを、
それに合わせて制作する必要があるので、事前に見越してそれらの部分をそれに合わせて作っておく必要性があります。
後で思いつきで出来るものではありません。
細かな作業なので、神経を研ぎ澄ましての作業となります。
この爪を立てる作業をしている間は、話しかけられても返事をする事が出来ません。
ときには一本立てるのに一日かかってしまうことがあるほどです。