「ジュエリーの造り」タグアーカイブ

マリッジリングの『作り込み』

今日は祝日ですが朝早くから皆様からご注文頂いておりますマリッジリングをせっせと制作しております☆
ちょうど今手掛けているリングは形状としてはシンプルリングですが、リングの外面に丸みを付けたあと側面との境目あたりの角にあたる部分にすこ~しの曲面を作っております。
実はただシンプルに丸みを付けている…というわけではなく、着け心地が良くなるように丸みにも微調整を行っております。
私共ではこういった作業を『作り込み』といっているのですが、作り込みをするのとしないのとでは、ぱっと見た目では違いがわかりづらいのですが身につけてみると明らかに着け心地に大きな差を感じてしまうので必ず行うようにしております。
こういった微調整にはどうしても手作業がかかせませんので、手づくりで指輪を作っているわけです☆
作り込みをすると、かかる手間も段違いに増えてしまうのですが、やはり長く指輪を愛して頂けたらと思うからでもあり、ご注文くださった方への期待に答えたいという思いと相まってなんですが、ホントのほんとは身につけて喜んでもらえれば嬉しいな!というシンプルな思いなのかもしれません(^^)
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ジュエリーの刻印について

一般的にジュエリーには、目立たない所に品位等を示す『刻印』が入っているのをご存知ですか。

先のブログでアップしましたペンダントの裏側にも、もちろん刻印が入っております。

ブランドによって多少入れ方が異なる場合もありますが、私共では以下のようになっております。

・HIROUMI = ブランドマーク
・数字 = ダイヤモンドの石目(ct)
・Pt950 = 使用している貴金属の品位(プラチナ950)
(写真では光の加減でちょっと見にくいですが)

ペンダント刻印
ペンダント裏側

こちらの刻印は、長い使用でも文字が消える事のないように『打刻』という技法で一文字ずつ刻印を金槌で打ち込んでおります。

ジュエリー用刻印画像のような刻印を使って一文字ずつ入れていきますので、ちょっとでも気を緩めると文字が上に行ったり下に行ったり、文字が二重になったりしてしまいます。

許容範囲はありますが、極端に文字が上下していたり、打った所が処理されずバリが出たり歪んだりしているものは美しくないので極力そうならないように慎重に作業する必要がございます。

 

 

ジュエリーの美しさを考えるのであれば、文字を入れるとなるとそのスペースが必要になりますので、繊細に作りたいと考えるとスペースがない場合などは入れたくないと思う時もあるのですが、品位など示すものですから必ず入れなければなりません。

ですから、入れるのであればその刻印もデザインされたように美しく入れたいと考えます。

こういったところにも、つくり手の気遣いが施されているのです。

 

フルオーダージュエリー制作 その3

お盆の季節になりましたね。
とても暑い日が続いておりますので、皆様どうぞ熱中症にはお気をつけくださいね。

アトリエではこのお盆も休まず制作を続けております。
日ごろはバタバタと慌しく制作しますが、休日は優雅に制作…なんて(笑)
どちらにせよ、手にしてくださる方の喜んでくださることを想像しながら制作の毎日です(^^)
さて、材料の準備が整いましたらいよいよ制作開始です!
用意しましたプラチナの角棒をそれぞれ必要な寸法に伸ばします。

デザイン画を参考にしながら、ダイヤモンドの周りの枠を作ります。
上の写真のように伸ばしたプラチナをヤットコなどを使って丸く丸めていきます。
曲げて行きますと加工硬化といってだんだん硬くなってきますので、途中ガスバーナーでプラチナを熱して急冷することで少し曲げやすくなるので、それを繰り返しながら少しずつ曲げていき丸いワッカを作ります。

ダイヤリング制作2_DSC9611_2217

同じような作業を他のパーツでも繰り返し、各部分を作っていきます。
写真に写っているワッカが、ダイヤの周りの部分になるパーツで、これに穴を開けて小さなダイヤモンドを埋め込んでいきます。
真ん中あたりに移っている丸い線で作ったようなパーツがダイヤの受け皿になるものです。
3本写っている線状のものはダイヤモンドを押さえる爪といわれる部分になるものです。
大きな角棒はリングのアームになる予定です。

更新してなくとも、鋭意制作中です☆

さて、気が付けばもう11月です。
前回のブログ更新から2ヶ月もたってしまいました(^_^;)

決しておさぼりしていたわけではなく(汗)、皆様よりご依頼頂きました品物や、アトリエ作品の制作、更には新しい道具を導入して新たな作り方の研究などに明け暮れておりました。

特に新しい道具などは導入すると使い方の研究に時間がかかってしまいます。
どんな便利な道具でも、使い方は自分たちで研究しなければなりませんので、それがちょっと大変なんですね。
特に土日は徹夜で研究事に没頭する日々です。

常によりよいものを皆様にお届けできるように日々努めております。
お待ちいただいている皆様、ただいま鋭意製作中ですのでどうぞご期待くださいませ(^^)

HIROUMI JEWELLERY 基本のキ

どんなに素晴らしい宝石も、ジュエリーとして身に着けるには貴金属の助けが必要になります。

プリミティブなものやコンテンポラリーものでは、貴金属以外のマテリアルを使ったものも多々ありますが、一般的に思い浮かぶものは、プラチナ、金などの貴金属ですね。

アトリエヒロウミで制作させていただいているハイジュエリーやオーダージュエリーの90%以上は、独自の割金配合のオリジナルPt950を使用しています。

繊 細な線で中石を留められるような張りのある、磨き上げたときに一点のくもりもなく輝きを放つ、なめらかな肌に仕上がるという、ハイジュエリー制作用に開発 したPt950ですが、HIROUMI marriage collectionでも、同じPt950を使用しています。

純プラチナと割り金を合わせ溶かし、独自のPt950を制作している動画をアップしてみました。

PT950地金製作動画(クリックすると動画サイトに移動いたします)

プラチナ鍛造動画

HIROUMI bisの制作を黙々と。

HIROUMI bis(チュ-リップ)制作中
物作りは、華やかなジュエリーから想像できないほど寡黙な作業の連続なんです。
熟練工でも、簡単だと思われるような作業でも、おしゃべりしたりしながら作業をすると大きなミスをします。
それがわかっているからこそ、集中している時は話しかけても返事をしない(できない)時もあるくらいです。
寡黙にひたすら作り続けている姿とはうらはらに、頭では様々なことを考えながら手を動かしているのです。

そして出来上がった時、どんな方がお着けするのだろうと想いを馳せるのです☆

<展示会のお知らせ>
作品達は「三越ジャパンセンスィーズ」にてご覧いただけます。

<会期>11月9日(水)~22日(火)

<場所>日本橋三越本店 6階 宝石サロン
<時間>10:00~19:00

ハーフエタニティリングの制作を淡々と。

ハーフエタニティリングの制作
「ジャパンセンスィーズ」に向けて淡々と制作を続けております。
今頃?と驚かれるかもしれませんが、HIROUMIはつくり手から発信をしておりますブランドですので,
「今も」作っているという言葉の方が自然な表現のように感じます。
手仕事で作り上げたジュエリーは、目にした時、手にした時、違いを感じていただけるものと確信しております。

作品達は「三越ジャパンセンスィーズ」にてご覧いただけます。

<会期>11月9日(水)~22日(火)

<場所>日本橋三越本店 6階 宝石サロン
<時間>10:00~19:00

ダイヤモンドリング リフォーム(リモデル)

立爪のリングにセットされておりました1Ctリングのリモデルが完成しました☆
先に作り上げましたパーツを組み立てて、バランス良く仕上げていきます。
お客様のお好みや、お使いになられる場面など、お打ち合わせをしながらフルオーダーでお作りさせていただきました。
姿形を新たにこれからまた受け継がれていくんだろうなぁと思いました。
いつか、またリモデルされる時が来るのかもしれませんが、その時にはまた「HIROUMI」の後継者たちが携わらせていただければ幸せだなぁと長い時間を渡っていくジュエリーに想いを馳せてみました(^-^)
リフォームリング途中工程
リフォームリング完成

パール&ルビーペンダント制作 1

Ptシャトンパーツの制作1

Ptシャトンパーツの制作2
完成したパーツを並べてバランスを見ている

先のブログにてオーダー頂いておりましたパールを使用したペンダントの制作です。
お求めいただきましたリングとコンビになるようにデザインを起こし、お打ち合わせをしましてから、素材の選択をし制作をしていくうえでの構想を練り上げ、ついに制作に取り掛かる事になりました。

そして、今回の制作にはもう一つ大事な事があり、お客様のお持ちでした綺麗なルビーを使用させていただける事になっておりました。これは職人冥利に尽きます。

さて、左上の画像のように小さなパーツからヤスリで細部を削り出して2つのパーツを作りだします。
それらを合わせますと右上のように少しクラシカルなメレーダイヤを留めるための枠が
出来上がります。

この枠はサイドから見てもアーチ状に削り出しており、ダイヤに光が入りやすくするとともに、しっかりと光を反射させますので、より綺麗にダイヤが輝きます。
とはいえ、とても小さなパーツになりますので削りだすのにも一苦労です。
さらにこの小さなパーツの状態で綺麗に磨き上げておくことで、組み立てた時に細部まで綺麗なものになります。
それには多くの時間を費やしてしまうのですが、完成時に大きな差が出ますので、どうしても必要で大切にしたい工程なのです。

これらのパーツを作ることが出来ましたら本体になる部分を板から打ち出して成型します。
それらが出来ましたらいちど並べて全体のバランスを確認します。
この時にパーツ同士の高さであったり、ルビーを並べてどのような輝きになるか確認します。

ソリテールのStyle

ソリテールのスタイルにも沢山ありますが、そのどれもがセンターストンの存在感を引き立てるものでなければなりません。
そして、シンプルに見える物ほど考え抜かれ高度な技術が求められます。
と言いますのもシンプルであるがゆえに、僅かな歪みや磨き、バランスの良し悪しがとてもはっきりと際立ってくるからです。
その良し悪しによっては、ダイヤの美しさまで左右してしまいます。
だからこそ、しっかりと考え抜いて余計な装飾を避け、必要な強度を残しつつ繊細にかつ魅力的に仕上げる事を考え制作を行います。

ソリテールリング(ラウンド)HIROUMI

爪のつくり(HIROUMI)今回はセンターをワイヤーセッティングにて作りダイヤのシャープな印象をより引き立てるために爪に角度を付けセッティングしております。

上写真はリングを裏側から写したところですが、ただ爪に角度を付けるだけでは絞ってきた所が(指側)爪の幅が同じですと地金で埋まって来てしまい
空間が無くなり、ダイヤに光が入らないうえに繊細さが無くなってしまいますので、爪の一本一本をヤスリにて削り、太くから細くと強弱を付け爪の幅を調整してあげることで、光が入りやすく、かつ繊細に見えるように加工致しております。

作る上では工程が大幅に増えてしまうので、一般的加工ではないのかもしれませんが、美しく仕上げるためには、このような細部に渡る作業がHIROUMIのスタイルでもあり、とても大切な事でもあると考えております。

ソリテールリング(ラウンドダイヤ)

ソリテールリング(1.9ct)HIROUMI

ソリテールリング(鍛造削りだし)HIROUMI お客様よりお預かりいたしましたルースを、ソリテールリングへとオーダーを頂いておりましたお品が完成いたしました。

今回ソリテールにふさわしくセンターを生かしたリングの作り方をいたしました。
1.9Ctの大きさがあったのですが、リングサイズが小さめでしたので、通常の宝石の高さのセッティングではバランスが悪くなってしまうため、センターを通常より少し低めにお作りいたしました。

それにより、リングサイズと宝石とのバランスが最高のものになります。
お着けになられるオーナー様、また宝石の特徴などに合わせた作りをし、魅力を最大限に引き出す事を出来るのが、オーダーの良いところだと思います。

そして、リングのアーム部分もそれに合わせて厚みや幅など最適な寸法に削り出しました。
上面より見た時にはアーム(腕)はセンターに向かって細くしていき、ほんのり山状に削り磨くことでセンターストーンの輝きの邪魔にならない様に心がけました。

宝石を固定させている爪と言わせる部分もワイヤーセッティングでお作りしたのですが、繊細な雰囲気を出しセンターを生かすために爪の一本一本をヤスリで削り、寸法に強弱を持たすことで、すっきりとした華やかさを感じていただけるものと思います。
この度は、オーダーを頂きありがとうございました。

「こだわり」と「作り込み」

アラベスクリングNo.1(HIROUMI)

アラベスクリングNo.1(パーツのはめ込み作業)HIROUMI
仕上げたパーツを嵌めこみ組み立てているところです

こだわりが強いと言えば、どのブランドでもきっと同じ事を言うでしょう。

しかし、もっとも大事なのは、細部に渡る「作り込み」です。

この部分は絶対に妥協が許されない個所で、ジュエリーにおいて非常に重要な事であると考えております。
とはいえ、それは膨大な時間とセンスが必要不可欠となります。

一点一点素材を厳選して、しっかりとした作り込み、表から見ただけでなく裏側も表と同様のクオリティにて、制作を行い表現する。
そういった作品こそジュエリーと呼ばれる価値ある物だと私達は考えております。

ときには、一本の指輪を作り上げるのに数百のパーツに分けて、各パーツを磨き上げた後に組み上げるということもあります。
新作として制作しました写真のリングも、唐草模様をプラチナの線材で作ったパーツをピンセットで一つずつはめ込んでいき、溶接して行きます。バランス感覚と感性から生まれる作品です。
ですから年間でも僅かな本数しか制作することが出来ません。

それでも、しっかりした本当に良いジュエリーをお手に取っていただきたいという想いから一点一点大事に仕上げていきます。

それこそが私達のこだわりです。

爪の角度?

ソリテールリング爪の角度(マーキスダイヤ)HIROUMI

ジュエリーにご興味のある方でしたらピンと来るかもしれませんが。
爪と言うのは指の爪ではなく、宝石を留めるための柱のような部分の事を指します。
(今回の写真ではピンセットで挟んでいる線材の部分です。リングを裏側から映しております。)

ソリテールリング爪の角度2(マーキスダイヤ)HIROUMI
一本ずつ爪の角度を調整・確認しているところです。

ジュエリーにセットされている宝石のほとんどはプラチナや金などの貴金属によって枠に押さえこまれております。

とはいえ、そこに留めているだけなら、あまり気を使わなくてもいいのですが、美しくセットしようと思えば、どのようにセットすれば美しくする事が出来るかということを考えなければなりません。
今回の写真で撮りましたこのマーキスカットダイヤのリングでも、その部分は随分意識して制作しております。
マーキスカットのシャープさを表現するために爪を鋭角にセットし、かつ線材でも石枠部分は太く根本に向かって細くと、グラデーションを付けました。
わずかな変化なので、気付き難いかと思いますが、それでも繊細さを感じてもらえればと思っての加工です。

手作りでの制作ですので、爪の一本一本を棒状のプラチナから削ってつくり、角度の調整をしながらセッティングして溶接していきます。
ただ鋭角にと一言で申しましても、一か所を鋭角にセットするためにはそれに関連する部分の作りすべてを、
それに合わせて制作する必要があるので、事前に見越してそれらの部分をそれに合わせて作っておく必要性があります。
後で思いつきで出来るものではありません。
細かな作業なので、神経を研ぎ澄ましての作業となります。
この爪を立てる作業をしている間は、話しかけられても返事をする事が出来ません。
ときには一本立てるのに一日かかってしまうことがあるほどです。

仕立ての大切さ

ハートシェイプを使用した、ソリテールリングの側面から見た写真です。
ソリテールリング(ハートダイヤ)HIROUMI

宝石の美しさを表現するために、あえてシンプルなモデルに制作致しました。
先に書きましたようにシンプルに表現するには、思われる以上に高度な技術が求められます。
宝石の美しさについ目を奪われがちですが、そんな時ほど枠の仕立てにも十分目を凝らして下さい。
側面から見てみると枠のプロポーションをみてとる事が出来ます。
そうすればそのジュエリーを制作されるまでの想いを感じ取っていただけることと思います。
見分けの一つとして、枠の細部までに至る仕上をご覧いただければと思います。

ジュエリーには、貴重なプラチナや金を素材に宝石がセットされております。
だからこそ、見えづらい裏側や隙間の内側まで綺麗にプラチナも磨いてあげなければ、高価な貴金属を使用する意味がないと考えております。
手にした際に、地金部分をそっと光に照らして下されば鏡のように綺麗に反射し、お顔が映り込むと思います。
宝石と共に、枠の仕立てにもジュエリーとしての完成度を気に留めるようにして頂ければ、
どのような元に作られたのかということが少しづつ感じれるようになるのではないかと思っております。

そういった細部に至る仕上げや、作り込みが宝石の魅力を引き出すのにとても大切な役割をしております。

ソリテールリング(ファンシーダイヤモンド)

今回の新作発表にて、制作しましたソリテールリングのご紹介です。
ソリテールリング(マーキス・ハートシェイプ)HIROUMI

純粋に繊細で綺麗と思える作品を作りたいと思い、ソリテールリングを2点制作致しました。

センターストーンのダイヤの美しさ、メレーダイヤの煌めき、繊細に作りあげ余計なものをそぎ落とし
指の上にそっと輝く、洗練した美しさを表現したく思い作り上げたモデルです。

一軒シンプルに見えるかもしれませんが、ジュエリーの良さ、宝石の魅力を引き出すために考え抜き、技術を凝らした作品です。

シンプルな作品と言うのは、技術の良し悪しがとてもはっきりと解るものなのです。

左右対称であったり、センターストーンを留める爪の角度であったり、メレーダイヤの彫り留めの綺麗さであったり、
わずかな歪みがシンプルであるがゆえにはっきりと解ってしまうのです。
そして、ヤスリひとかけで大きく表情が変わってしまいます。
ですから、制作における「作り手」の技術がはっきりと出てしまう作品と言っても過言ではないかもしれません。

繊細な作りのなかにも、指にしたときに優しく納まるようにリングの内側には程良い幅を持たせ、
心地好さも感じていただけるようにと配慮いたしました。

どうしてダイヤモンドが美しく感じるのか、そんな時リングの枠の仕立てにも少し目を凝らして頂ければ面白いかもしれません。